hal・後藤由紀子 ☓ たま — 孫のように愛されて

Aug 15, 2016 / Interviews

Photo:Kazuho Maruo(kiki inc) Edit&Text:Madoka Hattori

静岡県沼津市にある雑貨屋「hal」のオーナー、後藤由紀子さんは、10歳になる愛猫・たまさんと暮らしています。何よりも家族を大切にするという後藤さんは、ふたりの子どもと同じように、たまを可愛がっています。まるで歌川国芳の浮世絵にでてくるような迫力ある姿とは裏腹に、人懐っこい性格のたまさんを取材しました。

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孫のような存在感

—たまさんとの出会いは?

「『hal』と同じ通りに、40年くらい昔からやっている喫茶店があって、そこではいつも近所の野良猫の子どもが産まれると、里親探しをするんです。いつもは産まれてすぐ里親さんがみつかるんですけど、その時は2ヶ月たってもまだ子猫が残っていると聞いて。見てしまったら絶対に断れないから、誘われても頑なに行かなかったんですけど、どうしてもって言われて見に行ったら、すぐ膝に乗って寝てしまって。もう、可愛くて可愛くて……。旦那さんにすぐ連絡して、その場で飼うことに決めました」

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—どんな性格ですか?

「たまが来た時、子どもたちは小学生でした。たま自身は、子どもたちよりも自分が1番上だと思っていたようです。気まぐれに、子どもたちにちょっかいをだしていました。いまは子どもたちも大きくなり育児が一段落したので、完全にたまは赤ちゃんに戻っています(笑)」

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—たまさんがやってきた時、子どもさんたちとの関係は?

「子どもは嫌いじゃなかったみたいで、仲良くしていました。甘えん坊で、私が仕事から帰ってくると、玄関にちょこんと座って待っています。リビングで寝ていても、誰かが帰ってくると、タタタッと迎えに行きます。人が好きなんでしょうね」

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—普段は家と外を自由に行き来しているのですか?

「朝4時くらいに旦那さんを起こして外にでていきます。たまに7時くらいの時もあるのですが、夕方4時すぎに帰ってきます。きっと近所をパトロールしているのかな。範囲は広くないみたいですが、日中、どこにいるかはわかりません。向かいのお宅にも猫がいて、たまに言い争いをしています(笑)」

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—帰ってこなかったことは?

「夜まで帰ってこないとさすがに心配しますが、いつも必ず帰ってきます。ある日、普通に出ていって、夕方に帰ってきたら顔が真っ黒だったことがあって。どこで何をしていたのかわかりませんが、びっくりしました(笑)。喧嘩してひっかき傷をもらうこともあります。でも伸び伸び過ごしている感じですね」

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—後藤さんは幼い頃から、猫と暮らしていたのですか?

「犬も猫も飼ったことがあって、どちらも好きです。ある雨の日、お稽古帰りに泥まみれで捨てられていた犬を拾って、連れて帰ったこともありました。友人の桑原奈津子さん宅にいるキップルさん(http://ilove.cat/ja/17260)に会うと、やっぱり犬も可愛いなって思いますね。犬と猫、両方がいる暮らしも憧れます。私は、子どもに対してあまり親バカなタイプではなかったのですが、たまに対しては孫のような感じで、可愛くて可愛くてってノロけてしまうんです。思い返すと、自分が幼い頃から、犬猫に関してはベッタリしていました」

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猫と子育てと仕事

—子育てと猫のお世話。比べるものではないと思いつつ、違いはありますか?

「猫には、厳しさは一切ないです。もちろん、乗ってはいけない場所や食べてはいけないモノに対してはやっていけないよと伝えますが、言っても聞かないことも多い。子どもは、甘やかしてばかりではダメで、やはり時には厳しくしつけなければいけません。だからこそ、猫にはこちらもベッタリ甘えてしまうのかもしれませんね。よく赤ちゃん抱っこをしながら、イチャイチャタイムを楽しんでいます」

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—後藤さんが店主の雑貨店「hal」にも、猫好きのお客さんはいらっしゃいますか?

「気がつくと、いつも猫の話をしています。猫を飼っているという話になると、写真を見せ合って自慢します。お客さんの猫も見せてもらうと、一気に打ち解けた感じになるんですよね。なんであんなに可愛いんでしょうね、って盛り上がっちゃって。全く知らない人がみたら、ちょっと引かれるくらい、猫話で盛り上がることがあります(笑)」

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—店主としてのお仕事と子育ての両立はどうやってきたのですか?

「ちょっと前まで午後3時までしかお店を開けていませんでした。いまも4時までですから、フルタイムで働いていらっしゃるお母さんとは比べものになりません。好きなことを、自分のペースでやっているだけです。今年で14年目ですが、こんなに長く続けられるとは思っていませんでした。ずっとお店をやりたくて、周りに反対もされたのですが、でも今しかないと。一度やってみて気が済めばいいって思ったんです。旦那さんにも迷惑をかけないように、赤字が出たらやめる。そう決めていたので、半年とか、続いても2〜3年かなって思っていました。でもおかげさまで、なんとかここまでこれました」

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—スタートしても、続けることのほうが大変ですよね。

「なんで反対されてまでやる気があったのか、いまとなればわからないんですけど。こういうことをやりたいなって暖め続けている人は多いと思いますが、まずは1回やってみるといいのでは、っていつもアドバイスしています。でもこういいながら、5年目くらいにモチベーションが下がった時がありました。もう辞めてもいいかなって。周りのお店をやっている友人に相談したら、私もそういう時期があったよ、という人が多くて。開店して無我夢中でやっていた時から少し落ち着いて、マンネリ化してしまう時がどうしてもくる。それはみんなが通る道だと聞いて、フッと気が楽になりました。10年超えた今でも、1年ずつ考えます。いつまでやれるかわかりません」

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—後藤さんはお店経営だけでなく、そのライフスタイルにも共感する方が多く、著書もたくさん出されていますよね。

「まさか本を出させてもらうなんて思ってもみなかったので、ありがたいです。お店にも、全国からいらっしゃってくれて。沼津の近くに出張で来たので寄りましたという方もいれば、富士山登山の帰りに寄ってくださったり。東京からも日帰りできる距離で、思ったよりも遠くなかったといってくださる方が多いです」

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—巷は猫ブームですが、猫グッズに興味は?

「グッズには全く興味がないです。あ、でもイラストレーターの木下綾乃さんが猫のトートバッグを描いてくださったことがあって、それはとても可愛かったですね」

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—猫、そのものがお好きだと。

「尻尾の先や口元だけでも可愛い。どこをどう切り取っても可愛い。こんな生き物いないですよね。一度飼ってみてご覧なさいって思います。ただただ可愛い。赤ちゃんの可愛さに近いですね。猫は存在しているだけで、可愛い生き物なんです」

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  • 名前: たま
  • 年齢: 10歳
  • 性別:
  • 品種: 雑種
  • 飼い主プロフィール:
    後藤由紀子(ごとう・ゆきこ)
    東京の雑貨店で勤務後、2003年に静岡県沼津市で器や衣類、書籍を扱う雑貨店「hal」をオープン。著書に『「これまでもこれからも」好きなもの』(マーブルトロン)、『毎日続くお母さん仕事』(SBクリエイティブ)、『毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい』(PHP研究所)など。
    hal http://hal2003.net/
    後藤さんのInstagram  https://www.instagram.com/halsame/