デザイナー・倉石一樹 × ボンド — 「お手」をする賢い猫

Feb 9, 2011 / Interviews

Photo: Shin Suzuki / Edit&Text: Madoka Hattori

adidas」のクリエイティブ・プロダクトマネージャーや、イギリスのニットウェアブランド「CASH CA」のデザインなどを手がけ、ファッション界で注目を集めるデザイナー・倉石一樹さんと、12年前に出会った愛猫・ボンドさん。普段は人見知りをするというボンドさんですが、カメラを嫌がる事なく、カメラ目線で決めポーズを連発! さらには、珍しい特技もみせてくれました。

犬派から猫派へ転身 !?

—ボンドさんとの出会いは?

「猫を飼いたいと思ったとき、お金を出してペットを買うという事があまり腑に落ちなくて、雑誌『Cats』(現在は『猫生活』)の里親募集をチェックしたんです。よく雑誌の後ろのほうに“赤ちゃんが生まれたので譲ります”というコーナーがあるじゃないですか。そこで、気になる猫がいたので、すぐに電話して譲り受けました」

—では、ボンドさんのお母さんや兄弟も知っているのですね。

「はい。(写真を見ながら)これはボンドが生まれた頃の写真です。ボントの里親である中島さんから送られてきた写真で、赤い首輪がお母さんのモモコ。まだ若いですね」

—12年前に譲り受けて以来、ずっとブリーダーさんと交流を続けているのですか?

「毎年、年賀状をもらいます。最近はあまりないのですが…以前はよくボンドの写真を撮って送ったりもしていました」

—猫を飼ったことはあったのですか?

「小さい頃は犬を飼っていました。もう亡くなってしまいましたが、ハスキー犬でした。ハスキーは特に散歩をしてあげないといけないので、学校行く前に散歩して、帰ってきてからも散歩して…けっこう大変だった思い出があります。昔からアウトドアが好きなのですが、野田知佑さんのエッセイや佐藤秀明さんの『ガクの冒険』という本をみて、犬をカヌーに乗せたいと思っていたんです。でもあまり水が好きじゃなかったみたいで、諦めましたけど(笑)」

—犬ではなく、なぜ猫を飼う事に?

「猫は飼うのが楽だと思ったんです。犬は散歩にいかないとかわいそうじゃないですか。それに、NYのデザイン学校に通っていた頃、ホームステイしたお宅に猫がいたのでよく遊んでいました。友人のタキシン(NEIGHBOR HOOD・滝沢伸介)もずっと猫を飼っていたので、猫に対する憧れがあったのかもしれません」

—実際に猫を飼ってみて、どう感じましたか?

「手間は犬の方がかかりますが、接し方は変わりません。ボンちゃんは病気にもならないし、おりこうさんです」

いつの間にか習慣になった奇妙な“癖”

—ボンドという名前の由来は?

「特に意味はないんですが、大木凡人とか…。ジェームス・ボンドとか」

—どんな性格ですか? 12歳だと年齢的にはかなり落ち着いていますよね。

「いや、全然元気です。トイレした後や、ご飯食べた後などダーッって走り回りますよ」

—あまり人見知りはしないようですね。

「今日は珍しいです。見知らぬ人が来ると、いつもブラインドの裏に隠れてしまいます。嫌なことがあるとブラインドに隠れて、耳はこちらに向いているのに聞いてないフリをするんです(笑)」

—朝は早起きですか?

「5時30分くらいに朝ご飯タイムがあって、一人で起きて食べていますね。ご飯の時、ブラッシングで背中を掻いてってせがむんですよ。いつの間にかこういう癖がついてしまったみたいで…」

—背中を掻きながら食べるのはかなり珍しいですね。ご飯のこだわりは?

「カリカリは『ヒルズ』のサイエンス・ダイエットしか食べません。しかも毛玉を軽減する粒が大きいやつ。カリカリは常備していないと怒るので、減ったらこまめに追加しています。缶詰も食べますが、たまにあげるくらい。お皿はIKEAで購入したもので、しっぽが取っ手になっているんですよ。そんなに潔癖ではないみたいで、しょっちゅうカリカリの食べかすをボロボロとこぼしていますね(笑)」

—お気に入りのおもちゃはありますか?

「以前はヒモに夢中でしたけど、最近はあまりおもちゃに興味を持たなくて。たまに、カピパラさんのストラップを付けたヒモで遊びます。爪研ぎは餌の棚でしています」

—トイレは?

「廊下やキッチンには置き場所がなくて…結局、僕の仕事部屋の入り口に置いています。『ユニ・チャーム』の消臭サンド消臭シートを使っているので、匂いはあまり気にならないですね。でもボンちゃんは、なぜかお尻を入り口にむけておしっこをするので、トイレの外にこぼすんですよ。だから、周りにもシートを敷いています」

「お手」「おすわり」ができる芸達者な猫

—猫グッズや猫が登場する本やマンガに興味はありますか?

「猫の置物を貰うことは多いんですけど、自分で集めたりはしないですね。マンガだと『What’s Michael?』はすごく面白いと思います。主役のマイケルの子ども『ミニケル』がボンちゃんにそっくりなんですよ。ボンちゃんみたいにお腹が出てデカくて、可愛いんです。あと、昔ハスキー犬を飼っていたので、ハスキー犬が出てくる『動物のお医者さん』も好きです」

—猫というわけではなく、ボンドさんに夢中なんですね。

「そうですね。携帯で撮ったボンちゃんの写真を見せては“うちの子自慢”をしています。だから携帯の中の画像は、ほぼ猫写真ですよ(笑)。家の周りにも野良猫が多いんですけど、他の猫は全然かわいくなくて、うちの子が一番可愛いです!」

—とはいえ、猫中心の生活ではなく、お互いがかなり自立している印象を受けます。

「猫って、わりと勝手じゃないですか。自分からアピールすることは少ないし。寒いと乗ってきたりしますけど、そんなにベッタリはしないですね」

—お行儀がいいんですね。

「12歳とはいえものすごくアクティブで、永遠の2歳児です。あまり鳴くこともないし、おりこうさんだと思います。実は『お手』と『おすわり』ができるんですよ。猫用のかまぼこをあげる時に、しつけたんです。『待て』はさすがにできませんが(笑)、犬のように理解できているのだと思います」

—『お手』ができる猫はなかなかいないですね! きっと倉石さんが、犬を飼った事があるからしつけられたのでしょう。ボンドさんのお気に入りの場所は?

「IKEAで購入した小さなベッドが定位置です。子どもがぬいぐるみを寝かせるおもちゃのベッドなのですが、サイズがぴったりでした。あとは猫用に買ったのではないのですが、迷彩柄のビーズクッションも、形がすきなように変えられので気に入っているみたいです」

—キャットタワーはないのですか?

「憧れなんですけど…なかなか気に入ったデザインのものがなくて。毎月、動物病院から『PEPPY CATS』が送られてくるので、一応猫グッズはチェックしてはいます。でも部屋に置くと、かなりインパクトがありますよね。猫用の棚を壁につけた家を雑誌で見た事があるのですが、猫に合わせて本格的に家を改造するという気もしなくて」

—犬はお洒落なデザインのグッズが増えていると思うのですが、猫のお洒落なものは少ないですよね。倉石さんは洋服やプロダクトのデザインを手がけていますが、猫グッズをデザインしたいと思いますか?

「機会があればやってみたいです。前からあったらいいなと思う時はあって、ボンちゃんは手に噛み付いて足でキックするんですけど、その時に使える鍋掴みみたいなモノとか。でも猫は犬よりも本人の意思があり、こっちがいいなと思って買っても使わなかったりしますよね。だから作っても気に入ってくれるかわかりませんが。そういう媚を売らずに自分の意思があるところも、猫のいい所だと思っています」

  • 名前: ボンド
  • 年齢: 12歳
  • 性別:
  • 品種: アメリカンショートヘア
  • 飼い主プロフィール:
    倉石一樹(くらしい・かずき)
    1975年東京生まれ。adidasクリエイティブ・プロダクトマネージャー。NYでグラフィックデザインを学び、帰国後A BATHING APEのデザイナーとして活躍。現在はadidasのドイツ本社で企画されるグローバル・プロダクトのデザインやプロモーションを日本で展開するかたわら、2010年春夏コレクションよりイギリスのニットウェアブランド「CASH CA」のメンズレーベルのデザイナーに就任。さらには元Number(N)ineの宮下貴裕とともにリーバイスの新ライン「Levi's® Left handed Jean by Takahiro Kuraishi」や、共同デザインプロジェクト「84-74 lab. takahiro kuraishi」を立ち上げる。また、ファッションだけでなく「fragment design」名義、およびフリーランスのデザイナーとして、ミュージシャンのアルバムジャケットや、アパレルブランドのグラフィックなども手がけている。