北欧スウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソンの魅力

Nov 22, 2012 / Topics

Photo:Kazuho Maruo Text:Madoka Hattori

書籍「ilove.cat」にも登場している北欧スウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソンさん。2012年秋に「伊勢丹新宿本店」「ミナ ペルホネン京都店」で開催された展覧会が、12/1から大阪の「dieci(ディエチ)」へと巡回します。今回は、展覧会に合わせて出版された写真家・木寺紀雄さんによる写真集「エステルレーン リサ&グンナル・ラーソン」と、プロモーションムービーをご紹介。リサ・ラーソンの魅力について、来日した娘・ヨハンナさんにお話を伺いました。

—猫はじめとする陶器やグッズなど、リサ・ラーソンさんの作品は日本でとても人気があります。実際に日本に来てみて、お客さんの反応はいかがでしたか?

日本で話題になっているということは知っていたのですが、実際に伊勢丹新宿店やミナでの展覧会へ行くと、たくさんの人が来てくださっていて、とてもビックリしました。特に伊勢丹は、想像していたよりも大きな百貨店で、ハイエンドなブランドと同列に扱ってくださっていることがとても嬉しかったです。リサは皆川(明)さんのことをとても尊敬していますが、彼がどれだけ有名なデザイナーなのかというのは、きちんと理解できていなかった。だから、ミナのファンの方々にお会いして、彼が本当にたくさんの人に支持されているデザイナーなのだとわかりました。


〈伊勢丹新宿本店での展示風景〉

—ミナペルホネン京都店では、ギャラリーのような展示をされていましたよね。皆川さんのディレクションだったのでしょうか?

展示作品はリサのアートピースと、夫である画家・グンナルの絵画作品を、コーディネーターの横山いくこさんと2人とともに相談してセレクトしました。リサは長年、グンナルと二人展をやっているので、いつもギャラリーで展示するような、クラシックな白い台にディスプレイことを考えていました。ところが、皆川さんから「僕がやってみてもいいですか?」と提案をうけ、彼におまかせすることになったんです。ミナはお洋服屋さんなので、ギャラリーとは異なる空間。その雰囲気を生かしながら、とても情緒的でモダンな展示になったと思います。今回選んだ作品は、動物ではなく1点1点表情の異なる、人間の形をした彫刻でした。さまざまな個性を持つ生徒が学校の教室のように並んでいるようにもみえる。きっと、リサ本人たちでは思いつかなかったでしょうね。


〈ミナ ペルホネン京都店での展示風景〉

—12/1からは、大阪のディエチでも展覧会が開催されますが、どのような展示になるのでしょうか?

ディエチは、小さな個室ようなギャラリー。グンナルの作品をコラージュしサロンのように掛け、リサの1点ものの動物たちの陶器が並ぶ予定です。伊勢丹やミナとは異なる作品をみることができるはずです。


〈書籍「ilove.cat」より〉

—展覧会に合わせて、写真集「エステルレーン リサ&グンナル・ラーソン」も出版されました。また会場では、ムービーも展示されていました。写真集では、ロードムービーのようにリサの家に辿り着くまでの道からはじまり、ページをめくると笑顔のリサが出迎えてくれる。作品が生まれた背景や場所を知ることで、より深くリサの世界観を楽しめますよね。

ムービーをみていると、ホームシックになって「リサとグンナルに会いたい!」って思うほど、彼らの自然な雰囲気を捉えています。自分たちにとっては日常なので、他の人がみて面白い、素敵だと思ってもらえるのはとても不思議。寝室の引き出しからハミ出した靴下が素敵だなんて、自分では気がつけないことですから(笑)。写真家の木寺さんや編集の柴田さんの視点を通すことで、長年培ってきた身の回りのモノのよさに気づかされました。また、今回リサが来日できなかったので……といっても本人の代わりにはなりませんが、少なからずリサの世界観が伝わったのではないかなと思います。


〈写真集「エステルレーン リサ&グンナル・ラーソン」http://artlabo.ocnk.net/product/3758

—最後に、書籍「ilove.cat」のインタビューで、猫の本を制作しているというお話がありました。どういった作品集なのですか?

リサのドローイングを元に、私が構成を考えた猫の絵本です。来年4月くらいに刊行される予定です。私が産まれる前から、リサの家にはずっと猫がいました。覚えているのは、サマーハウスの向かいの農家からトコトコ子猫が歩いてきたんです。きっと誰かが捨てていったのだと思うのですが、迷わず飼うことになりました。それがモーセという猫です。いまでもリサの妹が、モーセの子孫と一緒に住んでいるんですよ。スウェーデンでも、猫派か犬派かということはよくいわれます。リサはもちろん猫派。犬は主従関係があるけれど、猫はミステリアスで自分のルールに従い、気まま生きていますよね。リサ自身の性格も、完全に猫タイプです(笑)。


〈愛猫モーセがモデルとなった作品〉

【リサ・ラーソンとグンナル・ラーソン展】
会期:12月1日(土)〜12月9日(日)
会場:dieci 208 
大阪市中央区博労町 4-3-14 柴田ビル205,207,208
Tel : 06-6121-7220
http://dieci-cafe.com/