【有名猫さんに会ってきた!】 第一回:不思議顔の猫「まこ」編

Aug 21, 2012 / Topics

Tags: column

Photo:Kazuho Maruo Text:Madoka Hattori

ブログ「まこという名の不思議顔の猫」で一躍人気猫になった、まこ。現在は、人見知りのしおん、運動神経が抜群のしろたろ、1歳になるやんちゃなえいたの、4匹で暮らしています。ilove.catは、まこが登場してから、猫や猫にまつわるクリエイティブな部分に関して、大きな価値観の変化があったのではないかと考えます。なぜ人は、不思議顔の「まこ」に魅了されるのか。そのひみつを、飼い主の岡優太郎さんに伺いました。


〈まこ・雌・推定10歳〉

—まこのブログを始めたきっかけは?

「最初は、カラーコピーで出力した写真集のような冊子をつくっていたんです。友人たちに配っているうちに、だんだん欲しいという人が多くなって来て、じゃあブログにしようかと。2006年にブログをスタートした当時は、1日50程度のアクセス数でした。それが、あるとき人気ブログにリンクを貼られたようで、急にアクセス数が増えたんです。その時借りていたサーバが落ちてしまって、一晩アクセスができないくらいでした。友人の口コミだけでなく、リンクで一気に広がったのはすごくWEBらしい展開だったなと思います」

—ブログから本にもなりましたが、猫本にはめずらしいほどのオシャレな写真やデザインが印象的でした。

「特に猫のマーケットを意識して、新しいモノをつくろうという気持ちはありませんでした。本を作る前、ある編集者の方にまこの冊子を見てもらったら、写真集はマーケットとして小さいけれど、どんな小さな本屋さんにも、猫の本は置いてある。つまり、猫の写真集だけは別ジャンル。しかも、子猫をスタジオで撮影した“すごく可愛い写真”か、野良でたくましく生きている“野良猫のドキュメンタリー写真”の2パターンしかない。だから、まこの写真はいままでに無いパターン、ということを言われました。その冊子がひとつめの書籍の元になっていて、レイアウトもキャプションもほとんど同じです」


〈えいた・雄・推定1歳〉

—飼い主さんがデザイナーで、クリエイティブな職業の方だったということも大きいですよね。椅子ひとつとっても、センスのよさと、こだわりが見えてきます。

「家具は、ほとんど(前田)敬子の趣味です。家具によっては猫たちに大人気になってしまい、1日でボロボロにされたこともあります。だったらカバーを、とカバーをかけると今度はそのカバーがやられてしまって、今ある家具は淘汰されて生き残っている感じですね。初めの頃は写真をたくさん撮りました。ブログに掲載するのは、動きのあるショットや面白い表情を選んでいます。また、多頭飼いなので、それぞれの猫たちの関係性がわかるものは、コメントをつけやすい。上下関係や嫉妬、喜んでいるな、困っているなというのを読み取るのが面白いんです。猫たちはカメラ慣れしていて、大きいカメラも怖がりません。特にまこは、性格がオープンなので、取材の方がきてもどんどん撮られにくる。撮られていることを意識して、テンションがあがっていたり、まこなりのサービスなのか、ポーズをとったりもします。警戒心がないので、動くオモチャを買ってくると、まこは他の猫がとりあえず様子見している間を駆け抜けてきて、すぐに手を出すんです。玄関での送り迎えも欠かしませんし、お客さんも大好きで人なつっこいですね。最近、宅配便の方が毎回玄関に出てくるまこによく話かけてくれているのですが、どうもオス猫だと思っているみたいなんです。おもしろいので訂正していませんが(笑)」

—雑誌の表紙を飾ったりと、まこブームともいえる現象がおき、一躍有名猫になったわけですが、何か変化はありましたか?

「犬のように散歩をしないので、人が寄ってくることもないですし、生活自体には変わりがないですね。でも、写真展にたくさんの方がいらしてくださったり、友人に周りのみんなが知ってるよ、と言われるとみなさんに好かれているのだな、と思います。まこ自身は有名になったことを知る由も無いのですが、家に来る人がまこに会って喜んでくれるのはわかるようです。来客があると嬉しいらしく、いつもより元気になりますね」

—飼い主として、岡さんの変化はありましたか?

「小さい頃から猫は飼っていましたが、まこをもらうまで、里親ボランディアや保護猫のことは、そんなに詳しく知りませんでした。でも、まこを引き取ってから、ボランティアの方々と関わるようになったことは大きいですね。保護猫の飼い主募集ブログを作ったり、寄付をしたり、意識的になりました。まこのことを知って、ボランティアをはじめました、とか、保護施設から猫をもらいました、という方がいたりするのは、やはり嬉しいです。また、まこに続いて3匹を引き取りましたが、多頭飼いをして気がついたのは、性格が単純ではないということ。ベタベタ甘えてこないけど、実は寂しがりだったり、表面的な行動だけでは簡単にわからない。猫の性格は、想像以上に多層的なんだと知りました。猫ですらこうなんだから、と人間も印象だけでやたらと単純化しない方がいい、と思うようになりましたね。あと、言葉は理解していなくても、声のトーンで何の話をしているかわかっている。ご飯なのか、薬なのか、まこはとりわけ敏感で、苦手なモノだと話題にするだけでこっそり逃げていきます。猫は犬より賢くないと不名誉なことを言われたりしてますが、それは猫が犬ほど都合良く人間の命令を聞かないというだけで、最近では猫の知能は人間の2歳児程度という説もあるようです」


〈しろたろ・雄・推定4歳〉

—まこは今10歳ですが、病気などは大丈夫なのですか?

「まこは生まれつき腎臓が小さいので、そのケアはずっと続けていて、おかげさまで元気にしています。ただ、10歳を超えたのでやはり先のことは考えてしまいますね。獣医さんに聞いたのですが“生き終わる”という言葉があるそうです。動物は自分が死んで、それによって飼い主が悲しむという意識はありません。動物として自然に寿命を迎え“生き終わる”からこそ、生きている今が大切だ、という考え方。野放しで飼っていた昔と異なり、いま家の中で暮らす犬や猫は、家族としての存在感が増していると思います。いなくなったときの喪失感は想像を超えますが、それもしっかり受け入れるのが生き物と暮らす人間のつとめなのかな、と思います」

ブログ「まこという名の不思議顔の猫」
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