ランコントレ・ミグノン主催「犬猫譲渡会」潜入レポート

Sep 11, 2012 / Topics

Tags: column

Photo:Kazuho Maruo Text:Madoka Hattori

ランコントレ・ミグノン主催「犬猫譲渡会」潜入レポート

2012年8月25日、動物愛護センターや福島の被災地から保護された犬や猫が、新たな飼い主との出会いをもとめて、ランコントレ・ミグノンが主催する中野のシェルターに集いました。小林マナさんらが内装を手がける、新しく出来たシェルターの壁には、ミグノンで預かりボランティアをしている、ゆーないとさんが描いたユニークな動物たちの絵も。さらに、ミュージシャンの坂本美雨さんもボランティアに参加。新しい家族を迎えたいという、たくさんの人であふれていました。犬や猫の譲渡会とは、どういった場所なのか。ミグノンを主催する友森玲子さんに伺いました。


〈ミグノンを主催する友森玲子さん〉

飼い主としての責任をもつこと

以前は千葉の東金にシェルターを構えていたのですが、ボランティアをしたいという方にとっても遠かったので、都心に拠点を持ちたいと思い、この場所(中野シェルター)になりました。譲渡会を開くにしても、アクセスがよいほうがいいかなと。今回は、ほとんどが東京都の動物愛護センターで保護された動物です。一部、福島で保護した被災動物も含まれています。

新しい家族を迎えるにあたり、まずアンケート用紙に記入いただき、書類審査後、実際にお宅に伺い動物を飼う事ができる住まいなのかといった環境チェックをさせていただきます。問題なければ、その日からトライアルをスタート。改善が必要な場合は、動物は連れ帰り、調整していただいてからトライアルになります。

譲渡会に来る方は、以前に動物を飼ったことのある人が多いのですが、たまに初めて動物を飼うという人もいらっしゃいます。基本的な相談には乗りますが、お手本になるような飼い主さんになってもらいたいと考えています。なので、犬を飼う事にした場合は、家庭向けの訓練師さんにしつけを教わったり、また栄養学についてなどもご自身で学んでいただくことになります。例えば、散歩の際、きちんとしつけられていたならば、動物愛護団体から引き取ったということも、周りの見る目が変わります。そこでギャーギャー騒いでしまう犬だと、どうしても白い目で見られてしまう。猫の場合ももちろん、室内飼いでベランダには出さないようにといったことをきちんと理解して、飼っていただきます。

被災動物と人との関わり

震災があってから、預かりボランティアをしたいという方が増えています。ただ、すでに何匹か飼っている場合、再び地震が起きて避難しなければいけないという時にどうするか考える必要がありますよね。避難所では、ペットの持ち込みに制限があり、一人暮らしで何匹も飼っていたら、どの子を優先させるか決められない。いくらボランティアをしたいと考えても、責任がとれる範囲で飼うべきだと思います。

現在もまだ、震災が尾を引いているので、災害時にどうするかをきちんと考えてくださいと伝えています。避難用のキャリーバックやご飯の用意がしっかりできているかなど、日頃から気をつけて欲しい。家にとどまれなくなり、身一つで動物と避難生活ができるか。そこまで考えて、動物を飼うことに責任をもってほしいんです。

動物たちは常に飼い主を求めている

猫の場合は、野良猫が子猫を産んで、それを保護して警察などに届けてしまうと、そのまま愛護センターで処分されてしまうんです。助けたつもりでも、処分の手助けをしていることになる。もし少しでも保護したいという気持ちがあるのであれば、費用がかかりますが動物病院に連れて行くべきです。全く動物を飼ったことのない人が、通勤途中で子猫を拾ってしまいどうしていいかわからないという問い合わせがくることもあります。その場合は、募集のやり方を教えて、飼ってくれる人をご自身で探してもらいます。

夏にかけて、愛護センターに持ち込まれる動物が一気に増えるんです。旅行に行くから手放すという単純な理由ではなく、そもそも愛情がだんだん薄れていて、仕方なしに飼っていた人が、旅行に行く際にペットホテル代がもったいないよね、ということで処分してしまう。また、引っ越しにともない、ペット不可の物件になってしまい手放す人も多いですね。引っ越しと長期休暇のタイミングはたくさんの動物が愛護センターにあふれています。また、子猫も毎日どんどん処分されている。常に動物たちは余ってしまっているので、飼えるかもしれないと少しでも思ったら、譲渡会にどんどん足を運んでほしいですね。

愛護活動を人生の趣味として楽しむ

 私にとって、愛護活動は趣味です。食べる為に働かなくてはいけないのですが、業務終了後のアフター5と休みの日は趣味にあてている。いまはその趣味がややオーバー気味ですが(笑)。動物愛護をするには人生を捧げなくてはいけないというのではなく、趣味としてやっているだけなんです。自分の仕事をきちんとしながら、休みの日に楽しくボランティアをするのが理想。ミグノンのボランティアさんたちは、暇で時間があるからやるという人よりも、普段の仕事も

実している方のほうが多いんですよ。

 活動で一番辛いのは、動物たちを手放す時です。産んだ子をとられるような感覚になることもしばしば。でも、それを乗り越えて新しい飼い主さんに託し、次に処分を待っている子を助ける事ができる。また、譲渡会では普通の生活をしていては出会えないような業種や世代の人たちとの交流もできます。気持ちがくじけそうになった時は、処分を待っている子をみると、また助けようとガッツが湧いてくる。終わりのない活動なので、悲しんだり批判をしている暇はない。とにかく、積極的に動き続けるだけですね。


〈ミグノンの一時預かりボランティアとして参加している坂本美雨さん〉

【次回の譲渡会】
日時:9/22(土)12:00〜16:00
会場:中野シェルター(http://rencontrer-mignon.org/access/
*譲渡会は、毎月第2日曜日&第4土曜日に開催されています。
詳しくはこちら
一般社団法人「ランコントレ・ミグノン」
http://rencontrer-mignon.org/